東日本大震災より10年を迎えて
本日、東日本大震災より10年を迎えます。この間、日本YWCAは、福島に想いを寄せてくださる全国の皆さまと共に、福島の子どもや女性のサポートに取り組んできました。
震災発生直後から、福島YWCAをはじめ全国の地域YWCAや他団体と連携し、共に支援活動を行っていた日本YWCAは、その経験をもとにcom7300委員会を発足し、活動拠点として福島市内にYWCA活動スペース「カーロふくしま」を設けました。その名のとおり、「com」=共に、「7300」=震災の時生まれた子どもたちが20歳になるまでの7300日を共に歩もうと決意したスタートでした。
日本YWCAは、1970年より「『核』否定の思想に立ち」、「核」を頂点とした現代文明に否を唱え、「豊かさ」を求める生き方への問い直しを続けてきました。その中には、当然原子力発電が含まれています。私たちはその学びを通して「人類と核は共存できない」ことを確信しています。東京電力福島第一原子力発電所事故(以下、原発事故)により、大きな被害を受け続けている福島の女性や子どものサポートに取り組むことは、同時に「核」の問題と向き合い続けることでもあります。
これまで、日本YWCAは、東日本大震災と原発事故による被災者支援活動を軸に、福島の女性と子どもと共に歩み、また、再生可能エネルギーのワークショップなどを通して、福島のユースの未来を後押ししてきました。
10年の歳月を経ても事故の収束が見えない状況で、現在も子どもの心身の成長に不安を持つ保護者が8割を超え(※注)ます。また、復興の陰でその不安を表に出しにくい状況は、残念ながら震災当初から変わっていません。こうした中、全国の地域YWCAがカーロふくしまに集い、数多くのサポートを行った積み重ねは、長期にわたる幅広い支援となり、信頼の歴史となりつつあります。
日本YWCAは、コロナ禍の不安定な社会状況にあっても、今後もリフレッシュ(保養)プログラム、セカンドハウスプログラム、そしてカーロふくしまでの活動を継続していきます。福島の女性と子どもの心身を守るセーフスペースとして、さらに今後は、「若い女性のエンパワメント」を使命とする団体としてユース自らが、福島の現状を世界に発信し、社会を変えていける場となるよう活動を続けていく決意をここに表明いたします。
(※注) 中京大学成元哲研究室「ふくしま子ども健康プロジェクト」2020年の調査より
『震災体験記―福島県相馬郡新地町小中学生たちのあの時―』
日本YWCAが震災後支援に入った新地町の尚英中学校の生徒256名が「あの日」をふりかえって書いた作文集です。先生方の思いに共感して、国内外に知らせようと、YWCAのボランティアたちが、PC入力し、英語に翻訳しました。2013年4月発行。
定価:1,000円(国内送料込)
ご希望の方は、日本YWCAまでメール(office-japan@ywca.or.jp)にてお問い合わせください。
福島YWCA主催オンラインお話し会『 3・11「あの時」そして「これから」』報告
全国のYWCAは震災直後に現地に入り、福島YWCAと連携しながら、「『核』否定の思想」に立ち、地域でできることを模索しながら、脱原発を実現するための取り組みを継続してきました。
10年前の震災・原発事故直後の日本YWCAの動き、この10年間のそれぞれの地域YWCAでの働き、14時46分には参加者全員で黙祷の時を持ち、原発を巡る現在の状況を確認し、そして今後、全国のYWCAはどのような行動を担うべきかの提案もなされました。
主催者の福島YWCAより、メッセージが届いています。
「震災と原発事故から10年を迎える節目に、地域YWCAの、皆さんと共にこの10年の活動を振り返るプログラムを開催できたことを感謝します。今後もYWCAの仲間と共に原発のない平和な社会の実現を目指して歩んで参ります。」