作品紹介 〜児童文学で読むヒロシマ 『八月の光・あとかた』〜
『八月の光・あとかた』
朽木 祥 著
小学館文庫/540円+税
広島平和記念資料館を案内してくれたピースボランティアの方が、ここにある被爆資料は単なる「展示物」ではなく、原爆で生命を奪われた人びとの生きた証しである「遺品」だと語ってくれたことが強く印象に残っている。
本作に収められた五つの物語は、「あの日」まで私たちと同じように笑ったり泣いたり、さまざまな思いを抱えながら生きていた市井の人のささやかな日常が、たった一発の原爆によって残酷に奪い取られるさまをくっきりと描き出す。
被爆二世の著者が「原爆死者」とひと括りにされた人びとの「失われた声」を掘り起こし、ヒロシマの記憶を未来へとつなぐ1冊。
参考・画像
https://www.amazon.co.jp/八月の光・あとかた-小学館文庫-朽木-祥/dp/4094061800
Aki Yoshida