世界YWCAから:気候変動と水資源の保護-スリランカYWCAの活動-
4Oct.
世界YWCAから:気候変動と水資源の保護-スリランカYWCAの活動-
国際水協力年の2013年、9月1日から6日の世界水週間は、世界中の女性たちにとって水が意味するものは何かを改めて考える機会となりました。2013年8月1日、スリランカで起きたウェリウェリヤ事件(Weliweriya Incident)は、水不足について考えさせるものです。これを受けてスリランカYWCAは、水の安全保障についてのワークショップを開催しました。
ウェリウェリヤ地域で、住民たちがきれいな水を汚染されたことに抗議し、水資源の利用を要求しましたが、抗議活動をしていた3人が殺され、負傷者も多数出ました。このような事態を受けて、水資源の保護と水に関する権利への意識を高める教育をおこなう目的で本プログラムが企画され、いくつかの地域から若い女性たちが参加しました。
スリランカYWCAは、きれいな水の利用を制限することは人権侵害であると考えています。政府は義務履行者として安全できれいな水を市民のために確保する責任があるからです。
「多くの村で水問題はますます深刻な状況です」と、スリランカYWCAのサンギーサ・アンソニー(Sangeetha Anthony)は言いました。「たいていの河川は汚染されているので村の人たちはきれいな飲料水を求めて苦労しています」
こうした問題への対応としてスリランカYWCAは、「スリランカ・ウォーターパートナーシップ」および「ネットウォーター」との協働で、「地域の水の安全保障を目指す若い女性たちのための能力開発」の1日ワークショップを開催しました。ワークショップの内容は以下のとおりです。
1)水質、
2)汚染水の健康への悪影響、
3)気候変動の原因、
4)気候変動につながる温室効果ガスの排出削減に対する若い女性の責任、
5)水資源の保護に関する女性の権利、
6)水が汚染されている場合にどこに知らせれば良いのか。
ワークショップの中で、ルフナ大学(the University of Ruhuna)のチャンパ・ナバラスネ教授(Prof. Champa Navarathne)は、気候変動と水資源の保護に関する問題、温室効果ガスが与える悪影響、その排出を減少させる取り組みなどについて講演しました。
ワークショップでは、24か所のさまざまな地域から参加した若い女性たちが一堂に会しました。互いに影響し合い知識を共有することで、それぞれの地域の水資源を保護する方法を確実につくりあげていくことができるでしょう。サンギーサによると、地元には氾濫してしまう小さな川がいくつもあるそうです。「水を貯えるということに関心がない人もいます。川はただ流れ続け、川の水は使い捨てられ、適切に利用されていません。でも小さなタンクを川の下流に設置して水を貯えておき、川が枯渇した時にその水を使うことができればどんなに効果的かということが今回わかりました。一番大事なのは、水資源を保護する権利と、川の水を汚している人たちに抗議する権利が自分たちにあることを地域の人々に教えることです」と彼女は言いました。
クルネガラ(Krunegala)市から3キロ離れたコラパレリカンダ(Kolapalelikanda)という村に住むシャイマリー・マーサ(Shaymalee Martha)は、一年中豊かな水を貯えていた地域の井戸が最近枯渇してしまった理由について、もっと知りたいと思いこのワークショップに参加しました。
「私たちは村の水が不足していると感じたことはありませんでしたが、この前の干ばつ以来井戸の水が少なくなっているのです。地域の主要な湖からポンプでくみ上げられた水が町まで運ばれていますが、私たちの井戸はこの頃水量が少なくなっているのです」とシャイマリーは言いました。200世帯以上が井戸水に依存しているコラパレリカンダでは、いまだに水道管が敷設されていないのです。「私たちは入浴するには寺院か教会に行かなければなりませんし、飲料水はボトル入りを使わなければなりません」と彼女は嘆いていました。
けれどもシャイマリーは、「ワークショップでたくさんの情報を集めることができたので自分が所属する村のYWCAの人たちとこの情報を共有したい」と言いました。パナドゥラ(Panadura)YWCAの会長であるシャルミニ・テンナコーン(Sharmini Tennakoon)は、「この情報を地域に持ち帰って広め、女性たちをエンパワーするプロジェクトを通じて水資源の保護についての意識を高めていく」と言いました。
ランブッカナ(Rambukkana)から来たアノマ・ラジャパクサ(Anoma Rajapaksa)も、きれいな水を求めて苦労している家族を代表して参加しました。「母親として、飲み水を求めて2,3マイルも歩かなければならないのは本当に過酷な日課なのです。このようなワークショップに参加した村出身の女性たちが自分たちの知識を向上させ自分たちの権利についての意識を高めることができるように願っています」と彼女は言っています。
スリランカYWCAでは、水の安全保障と水資源の保護を、人権と人権に基づいた発展のモデルとして引き続き促進していきます。「ネットウォーター」と「スリランカ・ウォーターパートナーシップ」の会長であるクスム・アスコララ(Kusum Athukorala)は、「変動が急速に進む環境にあって水の安全保障を達成する取り組みには、地域が気候変動に適応することが不可欠です」と述べています。2012年にWomen in Water Award for Leadership Development (水問題についての女性のリーダーシップ養成への貢献を称える賞) を受賞したアスコララは、「これから、『ネットウォーター』、『スリランカ・ウォーターパートナーシップ』とスリランカYWCAが調査したニーズに基づいたフォローアップ活動をおこなう予定です」と語りました。次回のワークショップはジャフナで開かれます。
原文:世界YWCA記事(2013年9月6日掲載)
http://www.worldywca.org/YWCA-News/World-YWCA-and-Member-Associations-News/Climate-Change-and-Conserving-Water
編集責任:日本YWCA
翻訳協力:日本YWCAコモン・コンサーン翻訳グループ(浅原由美・加藤美恵子・黒木聖司・古賀佳子・今野菊代・芝田貞子・林加奈・宮坂浩美・山高万寿子・横山雅代・吉田亜希)