(予告)「YWCAのセーフスペース・ガイド」日本語版
YWCAは世界中で、「セーフスペース」(安全な場)をつくることを大切にしています。
『私たちのスペース、パワースペース:YWCAのセーフスペース・ガイド』(2022年世界YWCA発行)は、女性・若い女性・少女たちを対象に、セーフスペースのつくり方をわかりやすく示した実践ガイドです。YWCAのセーフスペースを特徴づける「10の基準」を中心に、詳細な解説と実施方法、書き込んだり切り取ったりして使えるワークブックなど、手に取る人に合わせてそれぞれの場に合ったセーフスペースをつくるのに役立ちます。
YWCAのセーフスペースを特徴づける「10の基準」
1. 尊厳と敬意
セーフスペースは、相互尊重の文化と尊厳の文化を大切にしています。これらのスペースは、その場にいる人どうしの信頼を育み、一方的に決めつけられて判断されたり差別されたりすることを恐れることなく、互いに支え合い、刺激し合い、励まし合い、認め合うことのできる場です。
2. アクセスのしやすさ
セーフスペースは、アクセスしやすい中心部の便利なエリア、場所、またはプラットフォームでおこなう必要があります。安全とプライバシーを確保し、すべての人がアクセスできるよう、参加するために必要な宿泊施設やさまざまなツールを提供します。アクセスしやすいセーフスペースは、移動型プログラムや地方ネットワークを利用して、遠隔地や孤立したコミュニティへのアウトリーチを優先し、バーチャル・プラットフォームとしてはアクセスしやすく、使いやすく、機密性が守られ、暴力がないものでなければなりません。
3. インクルーシブ(包摂的)であること
セーフスペースは、そこにいるすべての人がどのようなアイデンティティであるかに関係なく、自由に、またオープンに、分かち合うことができ、尊重されていると感じることができるようにサポートします。また、あらゆる多様性を持つ参加者を受け入れ、歓迎します。
4. 安全とプライバシー
セーフスペースは、参加者の安全とプライバシーを確保します。そこで交わされている会話についての秘密は守られ、情報やコンテンツを外部に共有する場合には、参加者の同意を得る必要があります。
5. 信頼とコミュニティ
セーフスペースは、参加者が集まってオープンに自分自身の経験を話したり、自分の考えや課題やトラウマについて話し合える環境を整えます。機密性を保ち、すべての人が認められ、サポートされていると感じられるようにすることによって、参加者の連帯感と信頼を築きます。
6. 全人的なアプローチ
セーフスペースは、参加者の生活に影響を与えるさまざまな側面や状況をよく考えを考慮に入れます。これらのスペースは、参加者の実際のニーズに合った情報やサービスを提供します。
7. パートナーシップと説明責任
セーフスペースは、コミュニティを実践し、リーダーシップを実践し、自分自身や他者に責任を持ち、特に広い地域社会へ貢献するための場として機能します。これらのスペースは、ジェンダー平等や女性の権利といった前向きな変化を引き起こすために存在します。
8.正確で信頼できる情報
セーフスペースは、参加者が必要なリソースにアクセスして十分な情報を得た上で、それに基づいた選択ができるよう、エビデンスに基いた正確な情報の共有を進めます。
9.リーダーシップと参加
女性・若い女性・少女が主導するセーフスペースは、あらゆる年齢の多様な参加者に安全でインクルーシブ(包摂的)でエンパワーされる場を提供します。これらのスペースは、参加者が変革の担い手となるようエンパワーするために欠くことのできない要素として、リーダーシップを高めることとインクルーシブに参加できることに重点を置いています。
10.世代を超えた協力
セーフスペースは、世代を超えた対話や分かち合い、メンターシップや協働、協力といった支え合う関係性を創り出すことを歓迎します。これらのスペースは、リーダーシップ・スキルの養成をとくに重視しながら、異なる年齢層の間での尊重と平等に重点を置きます。
日本語版発行について
日本YWCAでは、東京YWCA・国際語学ボランティアズILVのご協力を得て、同ガイドの日本版発行を準備しています。
- A4フルカラー・84ページ 2000円(税込・国内送料込み)
- 発行時期:2024年12月(予定)