3月8日の「国際女性デー」によせて、パレスチナYWCAが声明文を出しました
8March
3月8日の「国際女性デー」によせて、パレスチナYWCAが声明文を出しました
国際女性デーは女性の権利を支持し、祝福する日です。また、世界的に女性の権利を巡る進歩状況を評価する日でもあり、特に今年は、ジェンダー平等を達成するための国際的な誓約、北京行動綱領(the Beijing Declaration and Platform for Action)の採択から25周年目の年でもあります。
しかし残念ながら、女性の権利に関する進歩は限定的で、全ての人にとっての平等が達成される世界になるまでには長い道のりを行かねばなりません。特にパレスチナにおいて、未だに女性たちは日常的に様々な困難に直面しています。
パレスチナの女性たちは、イスラエルの軍事占領下で最も影響を受けやすい存在です。パレスチナ政治囚の人権擁護に取り組んでいるNGO「アダミール」(Adameer Prisoner Support and Human Rights Association)によると、現在イスラエルの刑務所には、43名のパレスチナ人女性がおり、その内8名がけがを負い、12名は治療が必要なほど病気で、16名が母親です。更に、4名の女性は罪状も裁判もなく行政拘禁され、刑務所で辛い生活を送っています。女性囚人も男性囚人と全く変わらない形で扱われ、同じような肉体的・精神的な拷問を受けているのです。
パレスチナ自治区は女性の人権に関する国際条約に批准しているにもかかわらず、パレスチナの女性たちは政治的、法的、社会的、経済的な制約を受けています。これには女性差別撤廃条約(CEDAW)の批准も含まれますが、そのどの項目にも留保していません。この意味でパレスチナ政府は国際基準に沿った形で法律を適応できていないため、その結果女性たちを苦しめていることは不幸だと言わざるを得ません。ヨルダン川西岸地区とガザ地区の女性たちは、高い失業率と賃金格差に苦しんでいるだけではなく、家庭から始まり、政治領域まで全てのレベルでの意思決定から排除されています。例として、現在のパレスチナ政府には男性の大臣が19名いるのに対して、女性の大臣はたった3名で構成されています。
男らしさと男性優位の文化は、パレスチナ社会におけるジェンダーを基にした暴力を助長しています。身分関係法(The Personal Status Law)により、女性たちは婚姻や離婚、親権、子どもの後見、相続といった場面で差別を受けています。女性団体や女性の人権活動家はこれまで15年間家族保護法(the Family Protection Bill)の採択を求めてきましたが、1つの省から別の省へとたらい回しにされ、未だに行き詰まっている状態です。女性を保護するのに抑止力のある法の欠如は、結果としてジェンダー関連殺人の蔓延を引き起こしています。「法的支援・相談のための女性センター」(Women’s Center for Legal Aid and Counseling)によると、2020年の初頭からヨルダン川西岸地区とガザ地区で4名の女性が殺害され、2019年には24名の女性が殺害されたと言います。
女性・平和・安全保障に関する国連安保理決議1325号(UNSCR 1325 on Women, Peace and Security)は、平和構築と紛争解決における女性の役割の重要性を再確認し、加盟国に「国連の平和と安全保障に関するあらゆる取り組み」において女性の参加を増やし、支援するよう訴えています。また、「武力紛争の全ての当事者に対し、ジェンダーに基づく暴力、とりわけレイプおよびその他の形態の性的虐待から、また武力紛争の状況におけるその他のあらゆる形態の暴力から、女性と少女を保護するための特別な措置を講じることを求め」ています。しかし、イスラエルによる人道に対する罪への責任追及の欠如、また国際法に準じて加害者の罪の説明責任を負わせるだけのパレスチナのリーダーシップの政治的意思の欠落により、パレスチナ人女性は苦しみ、その代価を払い続けているのです。
パレスチナYWCAは、人権侵害に対するイスラエルの責任を追求し、占領を終わらせるため、国際社会に対して全ての措置を取るよう求めます。更に私たちは、女性たちの苦しみに対してパレスチナ政府の責任を追求し、また国際的な義務に従い、CEDAWや、他に承認している女性の人権に関する国際条約の順守に必要な行動を起こすよう求めます。
私たちは、世界中の女性が等しく基本的な権利へアクセスできるようになるまで、ジェンダー平等は達成されないと強く認識しています。国際社会には、全ての人にとってこの世界がより良くなるために最大限の努力をするための義務があります。安全で平和な世界をつくるために、女性として、女性団体として互いに支え合うことは、私たちにとって国際的かつ集合的な責任なのです。