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世界のニュースから レイプから立ち上がる10億人~インドYWCAの取り組み

1Mar.

世界のニュースから
レイプから立ち上がる10億人~インドYWCAの取り組み

2012年12月、23歳の女子学生が集団レイプを受け死亡した事件を契機にインド各地で大きな抗議運動が起きていますが、1月に入っても性的暴行・殺害事件が相次いでいます。インドYWCAは、教会関係・人権関係・ユース関係団体およびネットワークとともに、自国政府に対し、以下のことを要請しています。

1. エンパワーするNGO 日本YWCA~women leading change 公共の場所への、女性警察官を含む警察官の派遣とパトロールを強化し、暴力事件を予防して女性の安全を保証すること。女性にとって安全な町にするためのインフラを整備すること。
2. 裁判所におけるレイプ事件への対応速度を早め、法廷審問を毎日おこなうことで6ヵ月以内に判決が降りるようにすること。警察による捜査には時間的期限を設けること。
3. 捜査手続きを定めすべての警察署に周知し、それをきちんと履行しない警察官に対する措置を講ずること。
4. 女性に対する悪質な犯罪を扱う際の警察の対応の鋭敏性、効果的な捜査、ならびに責任を持った対応を強化すること。
5. レイプ被害者に対し、遅延や複雑な手続きなく緊急救援、法的支援、医療支援ならびに長期リハビリテーションが提供されるようにすること。

日本YWCAは、女性の権利が守られる安全な世界を求めて共に活動するNGOとして、日本のインド大使館に対して上記の要請を支持し遂行を求める要請書を提出するとともに、インドYWCAへ連帯のメッセージを送りました。

以下は、世界YWCAブログから、インドYWCAの活動に関する世界YWCAインターンのクデカル・ラムヤさんの記事です。ラムヤさんは、インド・バンガロールYWCAでコミュニティ・ボランティア、アドボカシー活動家として活躍してきました。また、2012年「ひろしまを考える旅」には、インドYWCAからのゲストとして参加しています。

レイプから立ち上がる10億人~インドYWCAの取り組みから

                            (報告:世界YWCAインターン クデカル・ラムヤ)

2012年12月16日、首都ニューデリーで、映画鑑賞を終えた若い医学生と友人の男性は午後9時30分に個人バスに乗車しました。バスの運転手と車内にいた他の5人の男性は、バスは2人の目的地に向かうと明言しました。

しかし乗車わずか数分後、2人は居心地の悪さを覚えました。バスのドアが閉まると車内の6人が2人を取り囲み始めたのです。

若い女性は、6人の容疑者全員に連続してレイプされ、友人の男性は殴られて意識を失いました。女性は何度も殴打され、錆びた鉄の棒で暴行されました(容疑では、これが敗血症による死の原因になったとされています)。数時間このような暴行を受けた後、2人は裸で重症を負った状態で車外に放り出されました。

レイプの被害者は、内出血に苦しみ、内臓は修復不可能なまでに損傷していました。13日後、報道上の仮名として「ニルバーヤ(恐れを知らない者)」と名付けられた彼女は、深刻な負傷のために亡くなりました。

この事件は一つの国を変えました。女性たちは、何度も何度も自分たちへの暴力事件が繰り返されるのを黙って見ているのはやめようと決心したのです。

インド全国で抗議運動がわき起こりました。何千人もの市民が立ち上がり、官公庁の前に集まりました。その一人一人の心にあるただ一つの共通の思いは、「被害を受けたのは私だったかもしれない。私の姉妹だったかもしれない。私の母、私の娘だったかもしれない」ということ、そしてこのようなことは二度と起きてはならない、という思いです。

ニューデリーでの抗議運動に参加した、インドYWCAの会員・スタッフを含む市民たちには、催涙ガス、放水砲、警官隊からの攻撃が向けられました。しかし怒りに満ちた騒動を抑制しきれず、インド政府はレイプに関する法の見直しを余儀なくされました。

報告書や統計によると、インドでは20分ごとに1人、世界中で見ると5分ごとに1人の少女がレイプに遭っています。

インドYWCAは、12月の抗議運動に積極的に関わる一方、今回の事件が起きるずっと前から女性に対する暴力の廃絶を求めて声をあげてきました。

インドYWCAは、女性の権利のために活動する他の運動体と共に、ジャスティス・ヴェルマ委員会(レイプ罪への罰則に関する政府任命の委員会)への申し入れ書を作成しました。勧告事項には、予防的安全措置の施行、早期結審裁判、警察による捜査の向上、そしてレイプの定義に夫婦間レイプを含めること、などが含まれます。

同じく、デリー警察に対し、市内で生活する女性の安全を向上させる必要性を強く訴える申し入れ書を作成しました。

インドの地域YWCAは、何十年にもわかり虐待や暴力のサバイバーのための活動を続けており、全国の女性たちに、リハビリテーションセンター、ヘルプライン、護身術教室、緊急対策本部、無料カウンセリングや避難所を提供してきました。

ニューデリーで若い女性の身に起きたことは世界中にショックを与え、強い感情的な反応を呼び起こしました。しかしこれは、世界中で起き続けていることなのです。新たな「ニルバーヤ」について聞かされることほどに耐え難いことはありません。おそらく、自分がその「ニルバーヤ」になった場合を除けばですが。

このようなできごとは、一刻も早く過去のことにするべきです。

原文:世界YWCAウェブサイト記事(2013年2月11日掲載)

http://womenleadingchange.wordpress.com/2013/02/11/how-from-a-rape-a-billion-rose

日本YWCAから駐日インド大使への要請書「インドにおける女性に対する暴力への対策強化について」(2013年1月22日)

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編集責任:日本YWCA
翻訳協力:日本YWCAコモン・コンサーン翻訳グループ
(浅原由美・宇山智美・黒木聖司・小泉延枝・古賀佳子・
今野菊代・芝田貞子・林加奈・宮坂浩美・山高万寿子・
横山雅代・吉田亜希)

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