YWCA情報

パレスチナYWCAから:「土地の日」に際して

3月30日はパレスチナにおける「土地の日」です。パレスチナYWCAユース委員会が発表した声明(原文:英語)の日本語訳を紹介します。

土地の日に寄せて
YWCA青年委員会の声明:「過去、現在、そして未来、土地は私たちのもの」

今日(訳注:2025年3月30日)は「土地の日」の49周年にあたります。それは占領下のパレスチナにおける対立の中心に50年近く位置し続けている闘いを記念する日です。パレスチナの土地を完全に”ユダヤ化 (judaization)” (judaization)”し、国としてのアイデンティティとアラブ人の民族性を抹殺しようとする一連の動きの開始を示す最初の衝突が勃発したのは、占領下のガリラヤ地域でした。世界帝国主義の先進的な手段としてのシオニズム政策が、パレスチナの資源を不法に奪い取り、解放と独立への願望を葬り去ることを目的として誕生して以来、「土地」はパレスチナ人民の抵抗の象徴であり続けています。今年の「土地の日」は、ガザとヨルダン川西岸地区で、17カ月近くも続いている残忍な大量虐殺のさなかで、悲しみに満ちた心で迎えられることになりました。

占領軍の残忍さは激化し、土地と血をむさぼり尽くしています。それはこれまでパレスチナの土地を占領し、全領土を支配し、その歴史的アイデンティティと抵抗に根差したアイデンティティを消し去ろうと執拗に続けられてきた攻撃と同様です。ヨルダン川西岸地区に対する占領の支配力は倍増し、同地区の60%以上に影響を及ぼしています。ガザは以前からの軍事占領と並行する形で、完全に占領されています。平和の都であり、最も美しい土地である聖地中の聖地エルサレムの土地は、あらゆる残虐性と非人道的行為によって、最も凶悪な形の「ユダヤ化」にさらされ、パレスチナ人のアイデンティティ、国籍、アラブ民族性が抹殺されています。この街に残るパレスチナ人住民は、文化的・精神的な包囲下に置かれ、家の破壊、封鎖の強化、アパルトヘイトの壁によるパレスチナの他の地域からの隔離、”死の障壁”の閉鎖、日常生活への意図的な嫌がらせなど、厳しく恣意的な措置に直面しています。同様の状況はヨルダン川西岸地区にも存在し、都市、州、村は違法な軍事障壁によって隔離されています。その目的は、パレスチナ人の生活を破壊し、彼らを祖国の外に追放し、彼らの夢や願望を破壊することにあります。占領の残忍さは、老いも若きも、女性も子どもも高齢者も、すべての人々に影響を及ぼしています。日常生活はパレスチナ全領土においてほぼ停止しており、10月7日以降、特にガザ休戦協定発効後、占領軍の攻撃的な行動により、すべてが混乱を極めています。これに加えて、ヨルダン川西岸地区全州への無差別侵入、大学襲撃、学生の逮捕、そしてヨルダン川西岸地区と占領下のエルサレムにおける入植計画の延長として、大学の土地の一部を軍の兵舎に変えています。また、ヨルダン川西岸地区北部とガザからのパレスチナ人の強制移住も忘れてはなりません。

占領は、逮捕、暗殺、封鎖、検問所、資産への攻撃を通じてパレスチナ人を分断してきただけでなく、ヨルダン川西岸北部の住宅からもパレスチナ人を強制的に追い出し、行き場も帰る希望もない状態に追いやりました。ガザでは、戦線と残忍な爆撃の下で、パレスチナ人は家を追われ、土地は正当な権利なしに暴力的に接収されました。これは、パレスチナ難民問題を清算し、パレスチナの土地への帰還の権利を消し去り、難民キャンプを一掃し、パレスチナ人を暗殺し、パレスチナの文化と遺産を破壊する組織的な計画の一部であり、第2次インティファーダ以来最大規模の動きです。

土地の日にパレスチナの若い女性たちが経験する苦悩は、痛みと誇りが入り混じったものです。彼女たちは奪われた土地のことを記念する一方で、自分たちに制限を課す厳しい現実とも闘っています。逮捕、家屋取り壊し、封鎖、女性の貧困を広める過酷な生活環境など、直面する困難にもかかわらず、彼女たちは自らの大義を守る第1線を形成し、パレスチナのアイデンティティを守るうえで重要な役割を果たしています。検問所を通過し、占領軍兵士による最も残忍な形態の捜索やセクシュアルハラスメントに耐えるたびに、彼女たちの夢や野心は日々打ち砕かれています。彼女たちはしばしば拘束され、大学へのアクセス権を奪われ、暴力にさらされています。試験会場にたどり着く前に暗殺されることすらあります。また、人種差別的な検問所で(出産のため医療機関に行くことを阻まれたため)の母親や胎児の殺害、病院や村外の生殖医療センターへのアクセスさえも拒否されるなど、あらゆる形で虐待にさらされています。この”生殖にかかわる虐殺(reproductive genocide)”は、占領軍の蛮行の象徴となっています。侵略者の手は手を緩めず、彼女たちを家から追放し、避難民のためのシェルターでの生活を強いています。そこでは、生活に必要なもの、プライバシー、尊厳はまったく存在せず、彼女たちの夢、存在、尊厳と人間性をもって生きる権利は抹殺されています。占領軍が彼女の土地へのアクセスを妨げ、入植者が彼女の土地に破壊を引き起こし、そこに住みつき、彼女の生産物の販売を妨げるという暴挙を続けているにもかかわらず、パレスチナの女性たちはそれでも土地に深く根ざし、木々やオリーブを抱きしめて生きています。検問所は依然として彼女の移動を制限し続け、自由に呼吸する権利を奪っています。

この状況の中でも、パレスチナの若い女性たちは、自分たちの土地で尊厳をもって生きる権利を断固として守ろうとしています。彼女たちは勇気をもって困難に立ち向かい、パレスチナの遺産を守り、パレスチナの大義に対する世界的な認識を高めることに貢献する多くの取り組みを始めています。土地の日に、パレスチナの若い女性たちは、自由と正義のために立ち上がることの重要性を私たちに思い出させてくれます。パレスチナの大義は、すべての人々の連帯を必要とする世界的な問題です。彼女たちの勇気は、生きることへの決意と、未来の世代のために自分たちの土地を守りたいという願望を反映しています。今日、私たちはパレスチナの大義と土地の両方を脅かす重大な岐路に立っています。

私たちは、すべての国、地域、国際的な主体、そしてすべての地域および国際的な組織に対し、パレスチナの人々を支援するための努力を強化し、10月7日以来続いている戦争を直ちに停止し、ガザ、ヨルダン川西岸、エルサレム、そして占領地パレスチナにおける大量虐殺、飢餓、土地の窃盗、人々を窒息させようとするような軍事検問所の設置、人間の尊厳の侵害を含む占領軍の犯罪の責任を追及するよう求めます。私たちは、パレスチナ全領土における入植活動の即時停止と、パレスチナ人の自決権の保障を要求します。

土地は、すべての土地の解放、すべての難民の帰還、エルサレムを首都とする独立国家の樹立を通じてのみ解決できる紛争の核心であり、今もなおその核心です。

パレスチナの土地を守ることは、真実と正義を守ることであり、全世界が共有すべき責任です。

この土地は私たちのものです。

おすすめ

Recommended

YWCA(ワイ・ダブリュー・シー・エー/Young Women's Christian Association)は、キリスト教を基盤に、世界中の女性が言語や文化の壁を越えて力を合わせ、女性の社会参画を進め、人権や健康や環境が守られる平和な世界を実現する国際NGOです。
1855年英国で始まり、今では日本を含む100以上の国・地域で活動しています。

所在地:〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台1-8-11東京YWCA会館302号室
電話:03-3292-6121 FAX:03-3292-6122
受付時間:月~金 9:30~18:30(祝日を除く)

お問い合わせ

YWCAの最新情報をメールでお届けします!

10分でYWCAに詳しくなるメールマガジン「Y-net(ワイネット)」
毎週金曜日に注目のイベント情報やお知らせを配信しています。

    This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.