パレスチナ人民連帯国際デー声明:世界YWCA、パレスチナYWCAから
2024年11月29日の「パレスチナ人民連帯国際デー」にあたって世界YWCA・パレスチナYWCAが発信した声明の日本語訳を共有します。(原文:世界YWCAウェブサイト)
毎年11月29日、世界YWCAならびにその加盟団体であるパレスチナYWCAは、ともに世界中の個人に対し、パレスチナ人民連帯国際デーを記念することを呼びかけています。1947年以来、この日付は、パレスチナをユダヤ人の国、そしてアラブ・パレスチナ人の国と2つに分割することを提唱した国連安全保障理事会決議181号を記念するものでもあります。
パレスチナ人民連帯国際デーは、パレスチナ問題が未解決であることを明確に示すものです。パレスチナの人々は今でも、国連総会によって規定された不可侵の権利、すなわち外部による干渉を受けない自己決定権、国家としての独立と主権、そして、安全な国境を備えた独立国家の設立の権利を含め、追放された家と土地への帰還の権利が実現するときを待ち望んでいます。この国際デーは、これらの進行中の問題に国際的な注目が向けられるよう訴えるものです。
無数の国連の呼びかけや決議にもかかわらず、年々状況が悪化し続ける中、パレスチナでエスカレートし続けている危機は、即時の対応を必要とするものです。占領者としてイスラエルは、パレスチナを個々の離散した小地区に分断し、パレスチナが独立国家となることを不可能にする不可逆的な現実を作り出すことに成功しました。これらのイスラエルによる差別的な政策は、正義と平等への見通しを組織的に弱体化させ、それが、パレスチナ難民の追放と喪失の悲惨な経験につながってきたのです。1947年以降、イスラエルの政策は執拗に違法な入植地をさらに拡大するため、家を取り壊し土地や資源を没収し続けてきました。
パレスチナの人々の歴史にとって最も暗く過酷な時の中で、2度目のパレスチナ人民国際デーが訪れました。20年以上にわたり、ガザは息の詰まるような封鎖下に置かれ、深刻な貧困に陥りました。近年、そして2023年10月7日以降、イスラエルの占領によって行われた、国際司法裁判所(ICJ)がジェノサイドと認定する行為により、ガザの死者数は驚愕すべき増加を遂げ、緊急かつ即時の国際的アクションが必要とされています。何万人もの人が殺され、また負傷しています。
ガザの住民230万人のほとんどが住処を追われました。しかしガザに安全な場所はありません。ほとんどの人は戻る家がありません。意図的に破壊され、または修繕不可能なほどに損壊されたからです。すべての大学、学校や病院の大半、祈りの施設も破壊されました。食料や必須の薬品の過酷な不足による病気と飢饉が、疲れ切った人々の心に恐怖を引き起こしています。パレスチナの人々に対して行われているこれらの集団的懲罰のすべてによって、民間人が深刻な苦痛、恐慌、悲嘆の中で生きることを余儀なくされています。
パレスチナ全域、とりわけ難民キャンプにおけるこの悲惨な人道的・社会経済的状況により、国際社会が基本的ニーズに応えパレスチナ難民を支援する公約を果たすこともより困難になっています。
イスラエルのクネセト(国会)で最近可決された法律は、「イスラエルの主権下」にあるとみなされる地域、特にエルサレムその他のヨルダン川西岸地区でのUNRWAの事務所運営、サービス提供、活動を禁止するもので、事実上、UNRWAを数十年にわたりサービスを提供してきた地域から追い出そうとしています。
国際司法裁判所(ICJ)は、「ガザ地区におけるイスラエルの行動がジェノサイドにあたる可能性があると結論付け、イスラエルに対し1948年のジェノサイド条約に反するあらゆる行動を予防するすべての手段を取るよう求める暫定措置を命じ」ました。さらに、2024年7月19日、ICJはすべての国に対し各自の持つ責任を思い出すよう求めました。ICJの勧告的意見は、被占領パレスチナ地域に対するイスラエルの継続的占領は不法であり、新たな入植活動の停止を含め、可能な限り早期に終結されるべきであると結論付けました。
ガザ、西岸地区、東エルサレムにおけるこの現実は、各国政府だけでなく企業など非国家主体も含む国際社会が、イスラエルによるアパルトヘイトとパレスチナへの占領を終わらせるためにできるすべてのことを行うよう訴えています。
世界最大の女性団体の一つとして、私たち世界YWCA,ならびにパレスチナYWCAは、すべての人の人権の保障・保護と国際法の遵守を強く訴えます。私たちは若い人々、とくに若い女性たちに、UNSCR2250、UNSCR1325、その他国際協定で提示された自らの人権についての教育を提供することで、前向きな変革を追求できるようにし、また尊厳、身体の自己決定権、意思決定への平等な参加を含む権利を守り伸長させることができるようにする取り組みを行っています。
この日にあたり、私たちは国際社会と政策決定者に対して以下を求めます。
- ガザにおけるジェノサイドを止め、市民の生命を守り、人道支援を妨害なく届けられるようにするよう、即時かつ有効な行動をとること
- 民間人が出身の村、町、住所に帰還できるための保護と住居の提供
- パレスチナ難民に対し不可欠のサービスを提供するパレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への支援
- すべてのパレスチナ地区におけるイスラエルによる占領を終結させ、保護された国境を持つ独立した主権国家をパレスチナ人が設立する権利を得られる持続可能な解決に向けて取り組むこと。国際法と人権の侵害に対してイスラエルの責任を問い、正義を行うこと。占領下では、平和はあり得ません。
- 国際刑事裁判所、国際司法裁判所を含む法的手段を通じ、説明責任を伴う正義を実現すること
- イスラエルへの軍事的支援を中止し、経済的措置を通じてイスラエルに圧力を及ぼすこと
私たちは国連に対し、パレスチナに関して自ら決議したことを実行し、経済的・政治的・社会的・文化的権利の完全に実現させることを求めます。
パレスチナYWCAと世界YWCAは、このような途方もない現実と困難に直面しつつも、若い世代の持つ揺るぎない可能性、そして彼女・彼らの地域・国内・国際レベルでの積極的な参加が正義ある平和を促進する可能性への希望と信念を掲げ続けることをはっきりと表明します。何よりも、私たちは、ユースの心に希望をもたらし、そして自分自身・自分のコミュニティならびに世界全体のために自由・正義・平和を獲得するための根本的な価値となるものを若い人たちの中に育んでいくことに注力しています。
今日、そして一日一日、パレスチナの人々の、自らの不可侵の権利を実転するという願いとともに立ち、すべての人に平和、正義、安全、尊厳のある未来をつくるため支えましょう。