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世界YWCAから:国連にジェンダーの視点を取り入れる

18Oct.

世界YWCAから:国連にジェンダーの視点を取り入れる

2013年9月12日に国連人権理事会(HRC)は、「ジェンダーの視点の取り込みに関する年次協議」を開催しました。協議では、人権理事会の活動とそのシステムへの市民社会の貢献に対して力点がおかれました。

レミギウッツ・ヘンツェル人権理事会議長が、この協議の議長を務め、ニャラザイ・グンボンズバンダ世界YWCAの総幹事が司会を務めました。パネリストは以下の通りです。

・ チャロカ・ベヤニ(ザンビア):特別手続き調整委員会議長/国内避難民の人権に関する特別報告者
・ モザン・ハッサン(エジプト):「フェミニスト研究のための女性団体『ナツラ』」事務局長
・ ネハ・スード(インド):「人口と開発のためのアクションカナダ」アドボカシー・政策担当
・ ペニー・ウィリアムズ(オーストラリア):女性と少女の世界大使

ナバネサム・ピレイ国連人権高等弁務官が開会のあいさつをし、「決議6/30」の意義を強調しました。この決議は女性グループ、人権擁護者、NGOが女性の人権を守り推進する上で重要な役割を果たし、すべての関係者が普遍的定期的審査(UPR)において女性の権利とジェンダーの視点を十分考慮するよう求めています。
(訳注:UPR(Universal Periodic Review)とは、国連人権理事会が実施する、国連加盟国各国の人権状況を4年に1回の審査するプロセスです)

ピレイ国連人権高等弁務官は次のように述べました。「人権理事会(HRC)の活動にジェンダーの視点を取り込む際、市民社会が大きな影響を与え得るということには、皆さんも同意されると期待します。ジェンダーの視点をHRCの活動とシステムに取り入れるため、方針と実際の行動を結びつける重要な役割を果たしているのは、市民社会の関係者自身です。友人、パートナー、市民社会の仲間はHRCの助けを必要としています。女性人権擁護者が標的にされることはあまりにも多すぎ、実際に肉体的暴行を受けることさえも珍しくありません。それは女性としての地位に関する社会文化的規範や伝統に異議を唱えているとみなされた時です。市民社会団体の中には男性が牛耳っているところもあります。これは代表者や意思決定者の選定にジェンダー不平等があるためで、他の多くの社会機構にも見られます」

女性と少女の世界大使のウイリアムズさんは、オーストラリア政府のジェンダー主流化の成功例と、市民社会との連携という重要な価値について語りました。国連女性の地位委員会には、市民社会メンバーがオーストラリア政府代表団の一員として参加しています。さらに、オーストラリア政府は、外務大臣が主催する「人権に関するオーストラリアNGOフォーラム」を開催しました。今年初めに政府は「女性性器切除に反対するサミット」を開催し、女性と子どもに対するあらゆる形態の暴力に反対する取り組みを続けています。
(訳注:ジェンダー主流化(gender mainstreaming)とは、あらゆる政策、施策、事業等にジェンダー格差解消の視点を組み入れることを指します)

「人口と開発のためのアクションカナダ」アドボカシー・政策担当のスードさんは市民社会を巻き込むことの重要性を繰り返し述べ、市民社会も政府の代表としてUPRに参加すべきと言いました。「(UPRにおける)ジェンダー勧告は、有害な因習や文化的慣習などのジェンダー差別を存続させている主要構造やシステムを指摘するものでなくてはなりません。言葉だけではなく実行すべきです」と述べました。「フェミニスト研究のための女性団体『ナツラ』」事務局長のハッサンさんは「文化的慣習であっても人権を無視するものは見直さねばなりません」と言いました。

国連加盟国とNGOから幾つかの発言がありました。「市民社会、女性、人権擁護者などは日々の草の根運動の経験をもち現場での女性の現実を理解しているので、女性の権利の推進と擁護に大きな役割を果たします」とラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)は主張しました。

閉会にあたり、特別手続き調整委員会議長/国内避難民の人権に関する特別報告者のベヤニさんは、「国連は市民社会と密接に連携する義務があり、HRCとそのシステムに彼らを組み込むべきです」と述べました。グンボンズバンダ世界YWCA総幹事は「国連の機構は現場での現実からかけ離れたものになることがあり、市民社会によるより深い関わりが必要です」と訴えました。さらに、「若い女性の声はどこにあるのでしょうか?」と問いかけ、「若い女性は非常に多いので、このプロセスの中に代表としてしっかり組み込むべきです」と述べました。また、国連総会でのNGOの参加枠が少なくなっていることを強調し、すべての国連機関におけるNGO、市民社会の関与の場を広げるべきだと求めました。

この討論の成果は、国連人権高等弁務官事務所に提出され、人権とくに女性の人権とジェンダー平等の推進に関して市民社会のかかわりを強化するための取り組みやガイダンスに盛り込まれます。

原文:世界YWCA記事(2013年9月20日掲載)
http://www.worldywca.org/YWCA-News/World-YWCA-and-Member-Associations-News/Integration-of-a-Gender-Perspective
編集責任:日本YWCA
翻訳協力:日本YWCAコモン・コンサーン翻訳グループ(浅原由美・加藤美恵子・黒木聖司・古賀佳子・今野菊代・芝田貞子・林加奈・宮坂浩美・山高万寿子・横山雅代・吉田亜希)
写真:UN Women

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