女性差別撤廃委員会(CEDAW)に対する日本政府の措置に対する抗議文
2025 年 2 月 22 日
内閣総理大臣 石破茂 様
外務大臣 岩谷毅 様
日本YWCA 会長 樋口さやか 総幹事 山本知恵
2024年10月、国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は第9回日本政府報告書審査において、日本の皇室典範改正を求める勧告を示しました。これに対し、外務省は2025年1月27日、国連人権高等弁務官事務所に対し、日本が拠出する任意資金をCEDAWの活動に使用しないよう伝達しました。
YWCAは、女性のリーダーシップを通じて、公正で平和な社会の実現を目指す国際NGOです。また、日本がアジア・太平洋戦争へと向かう過程で、自国第一主義に陥り、国際協調の枠組みから離脱し、軍国主義と侵略の道へ進むことを止められなかった反省から、戦後は戦争の恐怖と理不尽を経験した人々の声を深く受け止め、国際協調の枠組みと規範に基づき、グローバルなネットワークのもと、非暴力による平和の実現を訴えてきました。
今回の日本政府の対応は、国連をはじめとする国際連携の枠組みに対し圧力をかけ、自国の都合を優先し、自国第一主義を助長する行為です。国際協調の原則に反し、日本国憲法前文にうたわれる「他国から尊敬される国家像」とは程遠いものです。日本YWCAは、日本国憲法の平等原則を支持し、家父長制に基づく差別制度である天皇制の維持を前提とした言説には与しません。しかしながら、今回の日本政府の対応は、国際規範を歪める行為であり、決して許されるものではありません。
日本YWCAは、日本政府が女性差別撤廃委員会に対して行った報復的措置に強く抗議し、直ちに撤回するよう求めます。