ニュースアーカイブス 2010年9-10月
オリーブの木募金2009-2010報告(2010年9月17日)
8年目を迎えるオリーブの木キャンペーン募金“Keeping Hope Alive”(希望を持ち続けよう)へ多くのご支援をいただき厚くお礼を申し上げます。パレスチナで募金を取りまとめているJAI(ジョイント・アドボカシー・イニシアチブ)から昨年度の募金報告が届きましので、報告いたします。
(PDF)オリーブの木キャンペーン募金報告2009-2010(日本語訳)→
概要
2002年以降、オリーブの木キャンペーン募金はイスラエルによる軍事的占領がパレスチナ人に及ぼす破壊的な影響についての認識を高めると同時に、コミュニケーションの輪を広げ、植樹するオリーブの苗木への出資者を募るための活動を推進してきました。
2009年度に乗り越えなければならない社会的・政治的環境は困難かつ複雑でした。ヨルダン川西岸地区やガザ地区におけるイスラエルの軍事的占拠や支配によって、土地の接収や、資源、とりわけ水の略奪がますます酷くなっています。パレスチナ人とその所有地に対するイスラエル人入植者による攻撃がさらに激しくなっていることも目撃されました。
オリーブの木を根こそぎにし、農業従事者を攻撃して、さらには土地の収奪行為に対して抵抗を続けてきたパレスチナ人やイスラエル人、あるいは国際ボランティアの人たちを逮捕しています。さらにイスラエルによる隔離壁の建設が、それが非合法であるにも係わらず未だに続けられています。
このような困難の中にもかかわらず、同キャンペーンは2009年度、約1万本のオリーブの苗木の植樹に成功しました。このうち8,000本以上は、世界のさまざまな国々の友人、協力者、その他の皆様のご協力によるものです。
いくつかの畑でイスラエル兵や入植者による妨害を受けましたが、最終的には提供されたすべての苗木が植樹されました。ベツレヘム、ヘブロン、ガザといったイスラエルの占領を受けている地域周辺の111の畑に、10,035本のオリーブの苗木を支障なく植樹しました。この111の畑の大部分は、イスラエルの軍事的占領により植樹のプロセスやインフラの制約を受けている29の地域に存在しています。
占領下にあるヨルダン川西岸地区およびガザ地区全域に同キャンペーンを通じて植樹された苗木の総数は、活動開始から数えて60,764本になりました。
核兵器の廃絶を訴える、長崎 高校生平和大使たち(2010年9月10日)
「核兵器のない世界への道は困難ですが、世界中の人々 の助けと理解があれば世界平和への道を開くことは可能 です」 これは2010 年8 月18 日(水)に世界YWCA を訪れ た高校生平和大使である臼井小春さんの言葉です。この 日、15 名の高校生平和大使が世界YWCA を訪問しまし た。 |
高校生平和大使は毎年ジュネーブの国連軍縮室の事務所を訪問し、長崎の人々の経験と 65 年前の被爆の悲劇について、そして被爆による身体的・心理的困難を伝えています。
また、 この訪問のもう一つの目的は、長崎が世界で最後の核兵器攻撃の被爆都市にならなければ ならないと訴えることです。 長崎は1945 年8 月、広島に続いて世界史上2
番目の核兵器被爆市となりました。この核兵 器攻撃により、およそ4 万人が即死、最終的には総計7 万人以上が亡くなりました。また、何 十万人もの負傷者と被爆による病に苦しむ人々を生み出したのです。
青木政憲さんの祖父 母は原爆被災者です。「私の祖母は当時5 歳でした。祖母は九死に一生を得たのです」と青 木さんは語ります。青木さんの祖母の被爆体験は何十年も前のことですが、この体験談が青
木さんの心に響き、核兵器廃絶と世界平和の実現のための働きの原動力となっているので す。
1945 年に起こったことは憎むべき現実ですが、これによって「平和な世界の実現」という一つ のゴールが若い人たちを動機づけるようになり、長崎の高校生平和大使の活動が始まったと
言えるでしょう。高校生平和大使は1998 年以来、それぞれの高校や長崎の繁華街、近郊都 市で署名活動を行い、嘆願書を彼・彼女ら自身のメッセージとともにジュネーブに届けていま
す。
このようなことをしても世界平和は実現しないだろうと言う人もいます。しかし、高校生平 和大使たちは小さい歩みがいずれ大きな進歩になり、メンバーの諸星佳織さんが語るように
「私たちの力は小さいけれど、全くの無力ではない」と信じています。
佐々木彰子さんは若い世代が行動を起こし、核戦争や放射能汚染の危険を主張しなければ ならないという信念をもち、人類の平和な未来を実現できるかどうかは若い世代の肩にかか
っていると語っています。
また、高校生平和大使は核兵器のない世界を実現することの重要 性も強調しています。世界にはたくさんの問題がありますが、軍事力と軍隊が問題解決の方
法となるべきではないのです。「多くの国が核兵器削減のために動き、核兵器のない世界に 向けて真剣に努力することを期待します」佐々木さんはこのように述べました。
ニャラザイ・グンボンズバンダ世界YWCA 総幹事は、YWCA を代表して高校生平和大使を歓 迎し、「平和を広める高校生の皆さんをお迎えすることができて嬉しいです。皆さんはYWCA
の平和と愛への深い献身を喚起してくれます」と語りました。高校生平和大使は、過去に直接 の被爆国となった日本の平和のためだけに努力しているのではなく、世界平和のために熱心
に努力してくれているのだと、ニャラザイ総幹事は彼らのイニシアチブを称賛しました。
高校生平和大使は世界YWCA に平和の象徴を提示しました。使命に満ちた活動を続ける彼 女らの願いは、私たち一人ひとりが世界平和の実現のために全力をつくすことです。長崎の
高校生平和大使である松永千幸さんは語ります。「ゴールを達成するのは困難なように思え ます。しかし、それがどんなに困難であっても、私たちは核兵器のない世界を実現させるため
に努力すべきなのです。そうでなければ、人類の未来はないでしょう」
翻訳協力:山下真理子
和文 文責:日本YWCA
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