13
Jul
2012
インドとの草の根コラボ実現!Yuva Hubba~環境に関するユースのリーダーシッププログラム~2012年6月15日(金)~17日(日)@インド・バンガロール(Bangalore)
2 July
インドとの草の根コラボ実現!Yuva Hubba~環境に関するユースのリーダーシッププログラム~2012年6月15日(金)~17日(日)@インド・バンガロール(Bangalore)
環境や人権の問題に勢力的に取り組んでいるインドYWCAとの交流が、この夏実現しました!
インドYWCAはインド国内の原発問題にも取り組んでおり、「さようなら原発 1000万人署名」を1000筆あまり集めるなど、これまで日本YWCAと強力なパートナーシップを築いてきました。
インド全土から50人余りのユースが集まったこのプログラムに、日本YWCAから2人のユース、伊藤 早織さん(札幌YWCA会員)・半澤紗也子さん(福島YWCA会員)が派遣されました。
まさに地球規模で影響する環境問題と、世界共通に見られる若い女性が蒙る負の影響を直視し、そして、若い女性たちがむしろリーダーシップを発揮できるよう力をつけることが、プログラムの1つの目的でした。
伊藤さん・半澤さんは、原発と環境・人権の問題をテーマにワークショップを実施しました。
自然豊かな会場・フェイスペインテングで交流
「私たち若い女性は、母なる地球と共にある。私たちはそれを便利で使えるものとして見るのではなく、また、それをお金で売買でき私的目的で使ってよいものとして認めない。私たちは、すべての人と生物多様性にとって公平な開発と持続可能な未来に向けて励むことを脅かす、社会経済的な不公平で不正義な取り組みに終止符を打とうと決意した。これは、この星(地球)を救うために私たちに残された最後のチャンスである。今すぐにアクションを起こそう!」
(プログラムのまとめより、インドと日本の若い女性たちの言葉)
プログラム報告
1日目:女性と環境:3つのテーマでパネルディスカッション、続いてワークショップを持った。
パネルディスカッション
・「気候変動と、女性をとりまく問題」Women’s concerns and climate change
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まず最初に、インド国内の各地域(東・西・南・北)、日本国内における環境問題のトピックを参加者が発言して挙げていった。インド全土で共通することは「水」に関する問題であり、生活に欠かせない水が不足する事態や化学薬品や土壌汚染による水への影響が指摘された。適切に処理されていない水を生活用水として使用することで様々な健康被害が出ており、特に身体のつくりが未熟な子どもに大きな影響を与えている。また廃棄物処理、工場から出される化学物質や車・バイクからでる排気ガスによる大気汚染についてのトピックも同様で、インド全土で懸念される環境問題である。東インドでは森林伐採が進んでいることや野生動物の保護、西・南インドでは鉱物採掘が進み、それが環境に影響するひとつのトピックとして挙げられた。日本の環境問題トピックとしては、「2011年3月に起きた巨大な地震と津波による原発事故から、日本国内では原発問題に関心が高まっていること」「日本だけではなく世界中に存在する核の問題は解決すべき大きな環境問題であるということ」を伝えた。
気候変動は生態系に大きな影響を与えることはもちろん、人間活動のひとつである農業に打撃を与えることが予測できる。インドにおいても日本においても食生活にお米と野菜は欠かせない。食と水の安全性は人間の体の健康状態に直接影響を与え、女性にとって重大な暴力となりうる。プレゼンテーターからは、「私たちは女性として環境問題に関心を持つべきであり、知識と経験を使って問題に立ち向かわなくてはならない」とメッセージが送られた。
・「若い女性と3つのR」Young Women and The 3 Rss
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バンガロールYWCAのユースメンバーより、参加者に向けて“Reduce, Reuse, Recycle”(減らす、再使用する、再生利用する)の「3R」の意識についてスピーチがあった。プレゼンテーターは、環境に優しいものを選んで使うエコな取り組みは、私たちに今すぐできる環境問題へのアクションであるということを述べ、スピーチの中に組み込まれたユース同士の意見交換の場では、生活している中で具体的にどのような3Rが実行できるかについて話し合われた。意見の中から、街で買い物をする時、キッチンで料理をする時、ゴミを捨てる時など様々な場面で3Rは効果を発揮することが理解できた。
・「持続可能な開発」Sustainable Development
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Yuva Hubba直後にリオデジャネイロ(ブラジル)で開催予定の「国連持続可能な開発会議」について説明があり、「(インドにおける)持続可能な開発とは何か、またそれはどのようにすれば実現できるのか」ということについてプレゼンテーションがあった。人々がより生活しやすい社会をつくるためには、価値や知識やスキルを獲得できるような教育が必要である。国内のそれぞれの地域が抱える問題や、それに基づく経験を共有することはもちろん大事だが、プログラム参加者各人が、それぞれ生活する地域に根付いた問題に対する知識と、それに立ち向かえるようなスキルを学ぶことが何よりも重要である、ということを確認した。持続可能な開発は、ローカル(地域的)な視点に立って初めて見えてくるものだということを学んだ。
ワークショップ
・「女性に対する暴力と気候変動の関係」Violence Against Women & Climate Change
先述の「気候変動と、女性をとりまく問題」の内容を受けて、参加者が2つのグループに分かれてディスカッションを行った。
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ディスカッションのテーマは、
①気候変動による悪影響はどんなことが予測できるか、
②気候変動による女性への影響はどんなものがあるか、
③気候変動によって女性が直面する暴力にはどのようなものがあるか。
ディスカッションによって出された意見
①気候変動は、酸性雨や地球温暖化を後押しすることが考えられ、大気・水・土壌の汚染によって食の安全が脅かされ、すべての生物の健康被害が懸念される。また気候変動は生態系に大きく影響を与え、野生動物の絶滅につながることも予測できる。
②気候変動は、女性に身体的な面でも精神的な面でもストレスを与えると考えられる。そのストレスによってホルモンバランスが崩れると、少女の身体的な成長の阻害や体重の低下、女性特有の月経周期の乱れを引き起こす。
③気候変動によって農業や漁業といった一次産業の職を失い、さらに生活上の食や水の安全が失われてしまうと、それは人間が抱えるストレスの大きな要因となるだろう。ストレスは時に暴力という形となって女性たちにふりかかる。家族やパートナーからのDVや性暴力といった問題に直面する可能性があり、女性にとって精神的・身体的なダメージとなることは間違いない。
平和を願って短冊を飾りました
2日目:
「若い女性のリーダーシップと持続可能な開発」、「環境を守る女性の役割」のテーマで全体会を持ったあと、分科会に分かれました。日本YWCAから、伊藤さんが次のワークショップを実施しました。
・「環境に関するアドボカシー」Advocacy for the Environment
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この先、インドYWCAと日本YWCAが共に環境問題や「核」の課題について考えるようなプログラムを展開する第一歩になればいいと思い、この分科会の準備をした。導入では、インドのユースメンバーが「核」に対してどの程度関心を持っているかを調査したいと思い、参加者にいくつかの質問を用意した。結果は、参加者に「周りに核について話し合える友達はいるか」と聞いたところほぼ100%の人がYESと答えるものの、「今まで核に反対するようなアクションに参加したことはあるか」と聞いたところ0%であった。またインドでは脱原発に向けて運動が加速していることを確認した。
NPT(Nuclear Non-Proliferation Treaty、核兵器不拡散条約)について知っている人は少なかったが、参加したユースの中には核について多くの知識を持っている人もおり、それぞれが持つ意見をシェアすることができた。しかしながら、インドのユースメンバーはみな自分たちが持つ意見や考えをアクションに変えたことがないというのが現状であり、衝撃を受けた。続いて、広島・長崎について知っている人は約70%、“Atoms
for Peace”(核の平和利用)に関しては聞いたことがあると答えた人が数人いた。核保有国であるインドと、原爆・第五福竜丸・福島原発事故など幾度となく「核」の犠牲となってきたにも関わらず、「核の平和利用」という名目で「核」を持っている日本の、YWCAユースメンバーが「核」について学び・考え・経験と意見をシェアすることができ、とても貴重な時間であったと感じる。
4日目:勧告と決議案の発表
最終日は参加者全体で課題の整理をし、問題を克服するための今後のアクションを考えました。
課題の整理
①気候変動について
②女性と環境
③持続可能な開発
④食と環境のつながり
⑤海岸における問題
⑥間違ったゴミ処理(管理)
⑦観光業による影響
⑧原子力の恐ろしさ
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<課題の整理>
①気候変動について:
二酸化炭素の排出を増やす(エネルギーを無駄に消費する)ようなライフスタイル
無責任な化石燃料の消費
不規則な気候パターンが生み出す、気候難民
②女性と環境:
ジェンダーについての視点を含まない開発計画や政策、その実施
環境における危機に対する女性と子どもの傷つきやすさについて十分な対処がなされていない
女性の性と生殖の権利を確保すること
③持続可能な開発:
森・水・海資源や、ガソリン・石炭・水力発電(エネルギー)などの天然資源の無制限消費
生物多様性の危機へと追い込む開発プロジェクト
社会、文化、環境への関心を無視した経済成長
④食と環境のつながり:
種子の主権 ―農家が管理するその土地特有の種の多様性(を守る)
多量の化学薬品を使った農作物や遺伝子組み換え食物
食の主権に影響を与える、種子(を販売する)企業の専売と国際貿易の制限
市場に並ぶ合成食品(食品添加物を使用した食品)と消費者の意識の欠落
⑤海岸における問題:
ウミガメやその他のSchedule 1(イギリスのWildlife and Countryside Act 1981)に指定されているような、海に棲む多様な種への脅威
(川の)上流でのダム建設や森林伐採などは海岸に影響を与える
リゾートや様々な建物から海へ流れる産業流出物
⑥間違ったゴミ処理(管理):
消費者のライフスタイル
家庭・オフイス・コミュニティで有機性廃棄物を再利用する
埋め立てごみ処理(地中廃棄)と有害な処理方法
⑦観光業による影響:
社会的・文化的価値の浸食(衰え)
伝統的な暮らしの脅威
観光業者と地域ガイドとの間にある経済的なアンバランス
公害
⑧原子力の恐ろしさ:
コミュニティ(地域)での協議を無視した政治的な決定が核の脅威を生み出す
放射能による遺伝的影響
自然災害と人災(例:福島)
女性とその健康
YWCA/私たちが挑戦できるアクション
「記載のアクションの中から、具体的にどんなことができるかをグループに分かれて話し合った。日本YWCAの私たちは、西地区(Goa, Mumbai)のメンバーと共に話し合い、YWCAの会議やプログラムでは使い捨て容器は使わず水筒やマイボトルを持ち歩こう、鉢植えや植物の種など環境に資するものを周りの友達にプレゼントしようなどと話し合った。また、紙媒体の会議資料を廃止し、デジタルな手法で(PCを使って)記録をとることを提案したところ、賛成意見を持つ人と「皆がPCを利用したらエネルギーを浪費してしまう」といった反対意見も挙がり、議論が白熱した。どの提案も進んで話し合い、取り組むべきことだと感じた。
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人を引きつけられるコミュニケーション・調査・文書・アドボカシー・ネットワークに努める。
若い人のリーダーシップとユースの参加を支援する。
他の地域に対して無関心で自己満足であることは(特に民族間における)環境危機に影響するので関心を持つ。
森・野生動物・海に対する知識と意識の欠如を改善する。
再生不可な資源への依存を減らす。
YWCAのホテル・ゲストハウス・オフィスで生ゴミ(有機性廃棄物)の堆肥利用を促進する。
ゴミの分別をする。
代替エネルギー(太陽光など)や代替テクノロジー(CCFL/LED電球利用、雨水採集など)を調査し、投資する。
YWCAの会議でプラスチックボトルや紙コップを使用しない。
会議やプログラムに参加する時、公共交通機関や車やバイクのシェアリングをして移動する。
自転車を利用する。
新しいYWCAを立ち上げる時は、地元の技術と資源を使う。
YWCAの敷地や建物に植林(蔓なども含む)して、さらに周りの人にすすめる。
YWCAのイベントで贈り物に花束を使うのはやめて、植物の種・鉢植え・本など環境に優しいものにする。
YWCAのホテル・ゲストハウスで提供する食べ物には、雑穀や地元でとれる食材を使う。
YWCA内はもちろん、他の環境保護団体とのネットワークを強化する。
コミュニティ・学校・大学をもっと刺激して、運動に参加できる女性を増やす。
私たちが実施するアドボカシーの効果を強める。
メディア(報道機関やラジオ)や文化(芸術・音楽・ダンス・映画)を利用したコミュニケーションに努める。
環境に優しい製品(布地バッグ・紙管ペン・再生紙・テラコッタ(素焼きの陶器))の販売促進をしている、地域の小規模ビジネスとつながりを持つ。
私たちが考える、YWCAの環境政策
アドボカシーやキャンペーンに参加する。
コミュニティでの、環境に対する意識を高める事業に投資する。
若い女性の環境運動を促進する。
環境問題に対して資金を献身的に提供してくれる基金(財源)にアクセスする。
地域間の研修や、インドYWCA/世界YWCA内でのインターンシップを促進する。
地域・国・国際規模の他のNGOや活動グループとのネットワークを広げる。
YWCAで、環境問題を意識した(はっきりと目に見える)運動を始める。
社会変革のエージェントを務められるような、YWCA組織とメンバーシップをつくりあげる。
まとめ
私たち若い女性は、母なる地球と共にある。私たちはそれを便利で使えるものとして見るのではなく、また、それをお金で売買でき私的目的で使ってよいものとして認めない。私たちは、すべての人と生物多様性にとって公平な開発と持続可能な未来に向けて励むことを脅かす、社会経済的な不公平で不正義な取り組みに終止符を打とうと決意した。これは、この星(地球)を救うために私たちに残された最後のチャンスである。今すぐにアクションを起こそう!