【読みもの】全国のYWCAにバーチャルでこんにちは!バーチャル訪問記―⑳湘南YWCA
今回訪問したのは、神奈川県にある湘南YWCAです。湘南といえば、相模湾を望む大磯町から平塚市、茅ヶ崎市、藤沢市、鎌倉市を経て、逗子市あたりまでのエリアを指しますが、今回訪問した湘南YWCAは、鎌倉を拠点に活動されています。会長の加藤さんが、湘南YWCAをご紹介くださいました。
リポーター(以下、リ): 加藤さん、こんにちは!鎌倉は今、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で注目されていますね。
加藤: そうですね。鎌倉は通常でも人気のエリアなのですが、今年は特に人出が多いように思います。
リ: そんな人気の街にある湘南YWCAのこと、ご紹介くださいますか。
加藤: はい。歴史からお話します。湘南YWCAは、1946年に日本基督教団鎌倉教会において、発足式・設立総会を行い、発足しました。今から76年前です。
リ: 戦後すぐのことですね。
加藤: 湘南YWCAは、発足当時より会館をもたず、職員も置いていません。ひとつの新しいカタチとして、ボランティアである会員の奉仕で運営することを理想としました。
リ: まさにYWCAの原点ですね。
加藤: そうですね。初代会長は西田琴さん(写真 右)です。この写真の方がそうなんですよ。「上海で働いたYWCA」をテーマにした講演会や聖書の会、「足袋や鼻緒の作り方」のお仕事会、クリスマス会などのプログラムで始めました。
リ: プログラム名を聞くと、当時の会員活動の様子がイメージできますね。
加藤: 戦後すぐに発足したということもあり、戦争を体験した会員たちの平和への思いは強く、弱者に寄り添いながら、戦後処理の社会問題や日本YWCAの憲法研究会にも積極的に役割を示し、ユニークな存在でもありました。
(続)幼児期に戦後を迎えた世代に引き継がれてからは、近現代史の会をスタートさせ、教育の中で知らされてこなかった戦争の実態を学び直してきました。月一回のペースで、13年目になります。今現在は、報道に焦点を当て、専門家の講師を招いて、ジャーナリストのあり方について学びの時をもっています。地域の市民団体の方も参加くださっています。横浜・平塚・浦和YWCAとの合同プログラムも行ってきました。
リ: 大切な視点ですね。
加藤: 1980年にスタートしたボランティアグループ「椿の会」では、知的障がい者の作業所「工房ひしめき」の作業補助を長く続けながら、入所者のご家族と協力して、社会福祉法人の施設建設に全力を尽くしました。鎌倉山に「ほしづきの里」が設立されてから40年の交わりになります。
リ: 湘南YWCAの活動は幅広いですね。
加藤: 子育て支援「ほっとスペースなのはな」の活動は全国の地域YWCAにも長年にわたって応援いただきました。幼稚園に行く前の親子のプログラムとして、15年間続けました。「ほっとスペースなのはな」の活動は終えましたが、その当時参加されていたママたちが、各家庭を潤すキルト作りの会をされています。こんな素敵な作品が出来ているんですよ。
リ: まあ!ステキ!
加藤: そうでしょ。皆さんとてもお上手なんです。この会の他にも、手芸好きの方による「キルトボランティアの会が1998年から活動しています。小さなキルトのピースを繋ぎ合わせ、90㎝四方のブランケットを作り、タイのHIVエイズの子どもたちのために、これまで300枚をお届けしてきました。東日本大震災の翌年からは福島YWCAをとおして、福島の乳児院・保育園・養護施設にお贈りしています。毎年、お贈りする前には展示会を開催しています。
リ: 一枚一枚に心がこもったキルトですね。これまで何枚ぐらい作られたのですか?
加藤: 通算945枚です。
リ: それはビックリ! 湘南YWCAの皆さんのコツコツと積み重ねてこられたパワーは素晴らしいですね。
加藤: ありがとうございます。会館をもたない私たちの活動を支えてくださっているのが、日本基督教団鎌倉恩寵教会。コロナ禍でも会場を貸し続けてくださいました。月一回の聖書の会でも歴代の牧師の方たちにお世話になっています。聖書の会によって、YWCAの活動の基盤を考える時を与えられています。
リ: 今日は、76年間にわたる湘南YWCAの幅広い活動を、あらためて知る機会となりました。加藤さん、ありがとうございました。最後に全国の皆さんへ「お国言葉」でひとことお願いします。
加藤: 湘南は方言という方言がないので・・・ひとことお伝えしたいと思います。「こんなことをしたい」と自由に活動できるのがYWCAの良さです。どうぞ、これまでのやり方にこだわることなく、新しい発想で、自由にやりたいことを立ち上げてください。