【読みもの】全国のYWCAにバーチャルでこんにちは!バーチャル訪問記―㉓釧路YWCA
北海道の東部に位置し、太平洋に面する広大な釧路湿原を有する釧路市にある、釧路YWCAを訪問しました。釧路YWCAの会員のみなさんが、日本基督教団の釧路教会に集まってくださいました。
リポーター: 会長の冨安さん、釧路YWCAのみなさん、こんにちは!
冨安: ようこそ、釧路YWCAへ。今日は晴れていますが、最高気温がマイナス1.8度、最低気温がマイナス16.6度と冷え込んでいます。
リポーター:わぁ~、そんなに気温は低いんですね。
冨安: 釧路地方のこの時期は、厳しい寒さです。
リポーター: そんなに寒い中、皆さん集まってくださったのですね。皆さんお車ですか?
冨安: 車です。釧路は交通の便が良くないので、会員が車で移動するため無料駐車場付きが必須条件になります。釧路YWCAのメンバーは全員、車を運転して集まってきます。
リポーター: そうなんですね。それでは、釧路YWCAの活動紹介をお願いします。
野村: 釧路YWCAは会館もスタッフも持たないYWCAです。活動の拠点として、主に日本基督教団釧路教会の集会室をお借りしています。釧路教会には、発足当時からお世話になっています。釧路YWCAのあゆみを辿ると、1971年に札幌YWCA の釧路ブランチとしてスタートしました。聖書研究会や英会話教室を続ける中、1974年5月に釧路YWCAの加盟が全国会議である日本YWCA中央委員会(当時)で承認され、正式に釧路YWCAとして活動を開始しました。
リポーター: 今から49年前ですね。
冨安: はい、釧路YWCAは、2024年に創立50周年を迎えます。
野村: 発足当初は、聖書研究会、夏季青少年キャンプ、バザー、ケーキ焼、子ども料理教室など行っていました。釧路で初めて、視覚障がい者むけに釧路市の広報紙を朗読したのもこの頃です。高齢者施設のおむつ縫い、デイサービスでの車いす介助や障がい者就労支援施設でのお手伝いは、今も続けています。事業としては英会話教室、華道教室、茶道教室、古典の会、パッチワーク教室など、さまざまな教室を開いていました。
また、YWCAの運動体として、日本YWCAのビジョンに沿って、核否定の思想に立ち、反戦・非核の勉強会を今も続けていますし、平和憲法をまもるため、憲法9条の勉強会や、他団体と講演会を共催したり、毎年8月には「平和の集い」も開催しています。
少し遡ると、釧路YWCA創立20周年と30周年の際には、記念事業として、地人会朗読劇「この子たちの夏」の公演と、「原爆パネル展」を釧路市生涯学習センターで開催し、800席収容の大ホールを満席としました。
リポーター: 小さいながらも、釧路YWCAの会員パワーは、すごいですね!
野村: ここ数年は新型コロナ感染症の影響を受けていましたが、計画の1年遅れで、2022年に釧路・函館・札幌の3つのYWCAが共催して、アーサービナードさんの講演会を行いました。アーサービナードさん は、講演の導入部分で、丸木位里さん・俊さんの「原爆の図」を基にして制作された紙芝居『ちっちゃい声』を演じられ、とても印象的でした。
2022年8月の平和の集いは、釧路教会の上原誠牧師より、被爆者の近藤紘子さんが書かれた『ヒロシマ、60年の記憶』のお話をうかがいました。
広大な釧路湿原をはじめ素晴らしい自然環境の中にある釧路YWCAは、SDGsの勉強会を通して、会員や地域の方々と環境の課題を共有する場を設けています。釧路湿原がラムサール条約に登録される前から、環境問題の取り組みとして、四季折々に釧路湿原、霧多布湿原、武佐の森を歩いてきました。湿原を歩くと、地球の温暖化や湿原周囲の開発による乾燥化で、植生の変化が顕著に表れているのを肌で実感します。
バプテスト連盟釧路キリスト教会宣教師でマレーシア出身のマシューさんとダイアナさん夫妻がおられます。お二人には、「わかちあい釧路」の活動で出会い、異文化交流の時を持ちました。さまざまな場面で一緒に活動する機会が増えてきています。
「わかちあい釧路」の活動は、2021年10月、バプテスト連盟釧路キリスト教会の奥村牧師の呼びかけで、釧路YWCA・釧路友の会・バプテスト教会が実行委員会メンバーとなり立ち上げました。
毎月1回、コロナ禍で経済的に困窮されている人々に、食料品や衛生用品等を無償で提供する活動です。新聞報道で知った釧路市内の教会・釧路市フードバンク・釧路市社会福祉協議会・一般市民・企業等からの品物や寄付など数多く協力が寄せられています。またいろいろな助成金で支えられ活動が続けられています。
リポーター: YWCAだけでなく、キリスト教会をはじめさまざまな方たちの協働と協力によって、エキュメニカルな活動を展開されていますね。
野村: はい、繋がって活動することで、実現できることはたくさんあります。この写真は、バプテスト教会を活動の場所として、教会の台所でお米やアルファ米など計量し袋詰め作業をしているところです。配布袋の中身は毎月違いますが、必ずお米、牛乳券、マスク、カップ麺、缶詰を入れます。必要な方には生理用品も差し上げています。当初は配布する数は30袋用意していましたが、今は70袋になりました。
これは、当日配布時間前に待っている人々の様子です。1日も早く困窮者の方々が並ばなくてもよい日が訪れることを祈りつつ、活動しています。
これは釧路YWCA自慢のルバーブジャムとママレード。活動費を捻出するため、毎年手作りしています、ルバーブは、数年前まで会員の自宅の畑で栽培していただいていましたが、ご高齢で管理できなくなったので、今は畑を借りて会員たちで栽培しています。年数回の畑の作業は雑草取りが大変ですが、収穫の喜びがあります。収穫した後のジャム作り作業は、教会の台所をお借りして行います。ルバーブは、茎が赤いと綺麗で美味しそうにできあがります。
リポーター: 釧路YWCAのルバーブのジャムは、2022年の秋に開催された「YWCAフェスタ」で1瓶買いました。
冨安: それはありがとうございました。 「YWCAフェスタ」では、おかげさまで完売でした。
釧路YWCAは小さな群れですが、日本YWCAに連なるローカルYWCAとして、これからも「平和を実現する人々は幸いである」という聖書の言葉に沿って、平和な世の中の実現に向けての活動を次世代に繋いでいきたいと思っています。
リポーター:今日はありがとうございました。