【読みもの】全国のYWCAにバーチャルでこんにちは! ⑪呉YWCA
呉YWCA会館とその歴史
今回訪問したのは、広島県呉市にある呉YWCA。呉YWCAは歴史ある建物でも有名です。なんとこの呉YWCA会館、「なかなか遺産」に認定第3号の建物なのです。「なかなか遺産」とは、どこにもない特異性をもち、クスっと笑っちゃうことから、国の重要文化財や世界遺産に認定はされないものの、でも、生真面目で、地域やそれを越えた地球上の環境やひとや社会やいろんなものと結びついて、「なかなか~!」と見る人たちを唸らせ、次世代に継承させたいと自然に思える遺産のこと。JR呉線と川と道路に挟まれた敷地に鋭角に折れ曲がる会館は、なるほど、「なかなか~!」なものです。今回の訪問では、この呉YWCA会館に、会長の永冨さん、副会長の山田さん、職員の家頭さんの案内で入ってみました。
この会館の設計者や竣工年は不明だそうですが、戦時中は日本海軍の倉庫、戦後は進駐軍が使用しており、英連邦軍属YWCAからYWCAについて学び、呉YWCAが発会する時この建物を借りてスタートしました。その後、当時の女性たちが資金づくりに奔走して購入し運営されてきています。建物の各所が西洋風で、当時の名残がうかがえます。
歴史を背負いながら、新しい時代に向けて進んでいく呉YWCA
玄関を入ると、天井が高く、合成梁が素敵です。その奥はカフェスペース。その横のホールでは、この日コーラスグループ「シャローム」の皆さんが「♪いつまでも いつの日も」の練習中でした。1950年代には、学生グループもこのホールをよく使っていたようですよ。年に2回開かれる「まるしぇ」では、子どもたちのワークショップも行われています。「ハロウィンに合わせた10月末には、呉市国際交流センターとの協働でエスニックフェスタもこのホールで開催し、各国のお国自慢の料理が並ぶんですよ」と山田さん。このホールに暗幕を張って映画会をすることもあるんですって。素敵ですね。
1階中央の大きな階段を上っていくと、広い踊り場があり、設立当初から大事に使われている藤の椅子が並んでいます。2階には小さめのホールがあり、かつて英連邦軍が礼拝のチャペルとしてつかっていたとのことです。その時のチャペルベンチが今も使われていました。このスペースは、現在ヨガやピラティス、子ども絵画・造形教室等の会場となっています。この日は子ども絵画・造形教室の小学生たちがパイナップルを模写。ダイナミックなタッチで描いていました。もちろん、描き終わったらパイナップルを切り分けて、おやつタイムです!
「今も昔も変わらないのがキッチンなんです」と永冨さん。バザーでも人気の呉YWCA特製肉まんじゅうは、ボランティアの会員たちが、捏ねて、混ぜて、手早く包んでいきます。一度に200個以上作るんですって!
「この大きなキッチンを利用して、2000年から子ども食堂「フリースペース夕食会」(毎月第4土曜日夜)を開催していましたが、2021年12月からは、食事を楽しみながら気軽に過ごせる地域・子ども食堂として「フリースペース夕食会」と「わいわい食堂」(毎月第2土曜日昼)をスタートしました。次なるはフードロスの取り組みとして、会館の空きスペースを利用してフードバンク設営も計画中です。」と永冨さん。家頭さんが図面をみせてくださいました。
永冨さんが、「アジア・太平洋戦争の真っただ中を通ってきた建物で、戦後混乱期に発足した呉YWCAは、その歴史を背負いながら、新しい時代に向けて進んでいきたいです」と語ってくださいました。さすが、「なかなか遺産」の呉YWCA会館では、昔も今も「なかなか~!」な活動が展開されていました。
最後に恒例の「お国言葉」でご挨拶。「ほいじゃあね~!!」