「3.11から12年 記者が見た等身大のふくしま」開催報告
3月10日、東日本大震災発生日前日に、ライターの牧内昇平さんを迎えて、カーロふくしまおはなし会「3.11から12年 記者が見た等身大のふくしま」を開催しました。
牧内さんは、朝日新聞記者として最初の赴任地が福島支局だったこともあり、震災発生後から常に福島に関心を持ち続けていました。2020年にご家族で福島市に移住し居を構え、今はフリーのライターとしてご活躍なさっています。
取材者として原発事故の深刻さを受け止めているものの、生活者としては福島を楽しみ、日々を送っているという牧内さん。おはなしのなかで、プロの取材者としての視点と生活者としての視点の狭間に立っていること、また、福島に僅か3年しか住んでいない自分が語る資格があるのかと、揺らぎ続けている気持ちを素直に語ってくださいました。
また、ふとした瞬間の福島市民の何気ない一言に、故郷を思う複雑な思いがにじみ出ていたことに触れ、12年過ぎてもなお残り続けている心の澱を感じ取って受け止めている様子が伺えました。
お話しの後の質疑応答では、「自分は浜通り(太平洋側の原発周辺地域)の人たちより被害が少なかったのに、震災を語ってよいものか、と今も悩んでいる」「牧内さんが、福島で暮らしてわずか3年で私たちが何度も傷ついてきたことを見抜いて下さっていることに感謝しています。」といった地元の方々の声も聞かれ、まさに、未だに揺らぐ福島をあらためて浮き彫りにしてくださいました。
また、おはなしの中で自主避難者と地元に残った残留者の葛藤を描いた映画「たゆたいながら(※)」もご紹介くださいました。自らも自主避難を経験した若者が、卒業制作として撮影・編集をされたドキュメンタリーです。参加者も高い関心を持ち、いつかは拝見したいとの声も挙がりました。
お忙しいなか準備を進めて下さった牧内昇平さんと、ご協力くださった牧内さんご家族に心から感謝します。