報告:高校生平和大使、今年もジュネーブの世界YWCAへ
11Sept.
報告:高校生平和大使、今年もジュネーブの世界YWCAへ
日本からの平和大使は、毎年継続的に、強い熱意を持ってジュネーブを訪れ、広島・長崎に落とされた原子爆弾の経験を共有することで、68年前に日本が受けた残虐な攻撃を語り継いでいます。
1945年8月、当時は軍都であった広島が、世界第二の規模の原子爆弾の標的とされました。ほんの数日後、長崎にも原子爆弾が投下されました。2つの町は激しく破壊され、おびただしい数の人命を失いました。この非人道的な攻撃は、その後も長期にわたり、人々の健康と生活の上に影を落としました。そして、日本、および日本の人々は、自国の第二次世界大戦への関わり、また広く知られた争いの歴史を顧みて、平和への永遠の誓いを立てました。
今年は、日本全国から集まった若い女性・男性が大部分を占める27人の平和大使が世界YWCA事務所を訪問しました。世界YWCA訪問後には、例年通り、世界的な核軍縮の必要性を強く訴える公式な請願書を提出するため国連軍縮局を訪れました。請願書には、世界中の人々から104万1,679筆の署名が集まっています。
原子爆弾・核戦争の影響は世代を超え、今では被爆者の3世、4世が平和大使の多くを占めています。平和大使たちは、自分たちの家族の話を語り伝え、原子爆弾の恐ろしい影響について伝えることで、より多くの人が核戦争の危険性について理解し、自分たちの国が決してこのような行為をしないよう説得してくれるようになると考えています。
幾人かの若い平和大使は、2011年3月の東日本大震災・津波がもたらした福島第一原子力発電所事故により被災しており、その体験は核の恐怖を再び呼び起こすものでした。これらの大使たちは、当時のことを「怖かった」と振り返り、緊急避難、家を失ったこと、原子力発電所の爆発による住宅地の深刻な高濃度放射能汚染などについて語りました。この経験は、平和のために活動したいという彼女・彼らの意志をさらに強くしました。
8月という節目の時期、日本YWCAから寄せられた報告によると、日本における終戦記念日である8月15日に3人の閣僚が、かつて日本の他国侵略と軍国主義の精神的支柱であった靖国神社を参拝しました。さらに、安倍首相は、追悼式典での式辞の中で、日本軍が他国に及ぼした加害、侵略行為への反省、「不戦の誓い」などに一切触れませんでした。
よって、日本YWCAは、恒久平和へのコミットメントを明らかに怠った総理大臣に対して強い姿勢を取り、深い懸念と抗議を示す声明文を送付しました。この声明文は、日本YWCAウェブサイト(/pdf/20130819.pdf)に掲載されています。
平和大使の旅路、そして過去に経験した恐怖を誠実に、正直に記憶していく彼女・彼らの姿勢は、平和の必要性に対する気づきと理解を世界的に広めるため必要不可欠なものです。この若い平和大使たちが、これまでの世代の努力を引き継ぎ、反戦のメッセージを広めることを選んだことは、私たちに大きな勇気をくれます。平和大使たちの尽力によって、いつかきっとすべての世代が、大使たち自身のように平和を求めて行動するようになるでしょう。
原文:世界YWCA記事(2013年8月23日掲載)
http://www.worldywca.org/YWCA-News/World-YWCA-and-Member-Associations-News/Messengers-of-Peace-return-to-the-World-YWCA-and-Geneva
編集責任:日本YWCA