「安保3文書」閣議決定 への抗議文
日本YWCAは、2022年12月23日、岸田内閣総理大臣に向けて表題の抗議文を発信しました。(以下全文)
2022年 12月 23 日
内閣総理大臣 岸田文雄様
日本YWCA 会長 藤谷佐斗子
総幹事 山本知恵
日本YWCA は平和を求める団体として1905 年に設立し、人権と環境を守ることを目的とし、女性の健康・生活、そして「いのち」を守るために世界の仲間と共に活動しています。
私たちは日本国憲法を活かし、平和と民主主義を守る立場から、12月16日に日本政府が行った「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」、いわゆる「安保3文書」閣議決定に抗議し、撤回を求めます。
国としての大きな方向性に関わる重要な意思決定を国会での審議を経ることなく閣議で行うことは、民主主義を根本から否定するものです。権力は一人ひとりの有権者から委託されたものであり、適正な手続きを無視して行使することは許されません。
軍事力によって平和を実現することは不可能です。今回の閣議決定に盛り込まれている「反撃能力」の明記や防衛費の増大をはじめとした軍事への偏重と軍備の拡大は、国際情勢の不安定化を止めるものではなく、さらに悪化させるものです。
近年、ロシアによるウクライナ侵攻、国連決議で違法性が確認されているにも関わらず数十年にわたり継続しているイスラエルによるパレスチナの軍事占領をはじめ、より強大な暴力を持つ側がそれを行使して恣意的に状況を変えること、それが明確に違法であるにもかかわらずなし崩しに「現状」として横行していく状況が国際的に加速しています。この流れが止められることがなければ人類全体にとっての未来は暗いものになります。
この状況の中にあってこそ、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。[…]われらは全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。[…]いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。」(前文)という憲法を持つ日本が率先して、すべての人の命が尊重される世界と国際平和の未来像を訴え、示すことが役割であると考えます。
今回の閣議決定を撤回し、すべての国会議員・公務員が順守義務を負う憲法に基づいて、国際社会に対する責任を果たすことを求めます。