【読みもの】全国のYWCAにバーチャルでこんにちは!―⑰静岡YWCA
今回の訪問先は静岡YWCA。会館もスタッフももたず、ボランティアである会員ですべての運営をされているYWCAです。訪問したこの日は「アイセル21」という静岡市の女性会館で活動されていました。
リポーター(以下、リ):こんにちは!なんだかにぎやかですね。
佐野: 静岡英和女学院中高のYWCAの生徒のみなさんも一緒に調理をしているところです。
リ: 楽しそうですね。さて、早速ですが、静岡YWCAの活動を全国のみなさんへ紹介いただけますか。
佐野: はい! 私たち静岡YWCAは、毎月第1日曜日に機関紙を発行、第1火曜日に運営委員会、第2土曜日に例会を持っています。 今日は、静岡YWCAの活動の一端をご紹介します。
リ: よろしくお願いします。
佐野: 毎年6月の例会には、「沖縄慰霊の日」を憶えて、さまざまな企画をしています。今年は、静岡・沖縄を語る会共同代表の富田英司さんから、沖縄の現状についてお話を伺いました。50年前、「核抜き・本土並み」を条件に、日本に復帰した沖縄ですが、未だ日本にある米軍基地の7割は沖縄に存在し、基地があるゆえに被る問題。今回は特に、基地内で使用した泡消火剤に含まれる有機フッ素化合物が地中にしみこみ、近隣の河川や農地にまで染み出して、健康問題になっていることを学びました。また、会場では、辺野古の基地建設に反対し、船長として海上での抗議活動を続けておられる金井創牧師より、キャプション付きの写真の数々をお借りし、展示しました。
さまざまな問題が何も解決しないまま、いえ、それどころか新たな問題をも引き起こし苦しめている現実を見聞きし、今私たちにできることは?と考えつつ、「本土」にいることの申し訳なさをも感じた日でした。
リ: 毎年「沖縄慰霊の日」を憶えてプログラムを企画されているのですね。
佐野: 7月例会は、「私の戦争体験」ということで、3名の会員に参加していただき座談会を開きました。お話の体験者でなければ語れないこと、学校の授業では聞くことのできないことを、直接お伺いすることができた貴重な時でした。「戦争は始めてはいけない、絶対にしてはいけない」。そのメッセージをしっかりと受け止め、語り継いでいく責任を新たにした日でもありました。
リ: 静岡YWCA では、毎月、機関紙に「私の戦争体験」を載せておられますね。
佐野: はい、一人でも多くの方の体験・思いを聞いて記事にしています。
リ: 8月の「ピースフェスティバル」も、毎年開催され、広く参加を呼びかけておられますね。
佐野: そうなんです。今年の「ピースフェスティバル」のテーマは、「核のない世界を」でした。静岡YWCA制作の4枚のピースキルトのタペストリーの展示と、今年で34回目となる原爆絵画展を行いました。
100人の方たちで作ったピースキルトは、憲法前文、憲法9条、97条をモチーフにしています。憲法前文は、若いお母さんたちが子どもたちにもわかる言葉にして、絵文字を混ぜながら工夫されています。毎年毎年見ているタペストリーですが、いつ見てもずっしりと胸に迫るものがあります。これらのキルトは静岡YWCAがとても大切にしているものです。
リ: すばらしい!日本国憲法もこのキルトも、まさに宝物ですね。
佐野: 今年、広島平和記念資料館からお借りした30枚の絵は、「1945年8月16日」、「夜が明けて」、「消息を尋ねて」、「火葬する」、「生きる」と分類して展示するようになっていて、説明文もついています。その場にいるような、生々しい光景が胸に迫り、訴えかけてくるようでした。
リ: 広島の市民が描かれた原爆の絵ですね。
佐野: 3日目は、紙芝居作家のいくま鉄平さんが、東日本大震災後福島に通い続けて描かれた絵本・アニメの中の「ふくしま原発始まり物語 『峠』」を上映しました。広島・長崎への原爆投下から、福島の原発事故までの、歴史をたどったアニメで、「核」の問題を考えさせられる作品です。
リ: ぜひ観たいです!
佐野: 先ほどから、とても美味しそうな香りが漂ってきました。
静岡英和女学院YWCAの生徒(以下YWCA): 今日は、札幌YWCAから取り寄せた、北海道のカボチャとジャガイモを使ってグラタンを作っています。
リ: わ~!!おいしそう!
YWCA: 夏休みには、YWCAの会員の方々に教えていただきながら、SDGsの取り組みの一つとして、My箸袋を作りました。9月の文化祭で販売し、売り上げは献金しクリスマスに市内の施設に届けます!
リ: ステキな箸袋ですね。
YWCA: 今日は、フードドライブも行います。各ご家庭で使い切れない未使用食品を集めて、静岡市内にあるフードバンクを通して、生活困窮者の方々にお届けします。
リ: フードドライブの活動は、各地で広がっていますね。
佐野: 静岡YWCAの会員は、9割以上がクリスチャンです。YWCAの活動をしながら教会での働きも担い、また、子ども虐待防止センター、アムネスティ、いのちの電話等で大きな責任を負っている者たちが集っています。このことも静岡YWCAの大きな特徴の一つであり、強みになっているのではないかと思っています。高齢化で実際に活動に参加できる会員は限られていますが、毎月発行される機関紙で繋がり、支え合って途切れることなく活動ができていることに感謝しています。
リ: 静岡YWCAの皆さん、静岡英和女学院YWCAの皆さん、今日はありがとうございました。最後に恒例の「お国ことば」でご挨拶をお願いします。
佐野: 静岡は特段なまりがないのですよ。
全員: さようなら~!