韓国YWCA主催イベント:「2022 YWCA女性平和フォーラム」の参加報告
韓国YWCA設立100周年を記念し、韓国YWCA主催で、「2022YWCA女性平和フォーラム(2022 YWCA Women Peace Forum)」が、7月6日(水)に開催されました。
このイベントには、ウクライナYWCA・パレスチナYWCA・日本YWCA、そして主催の韓国YWCAが各国の女性と平和に関する取り組みを共有しました。
ウクライナYWCA
ウクライナYWCAからは、ユースのアリョーナさんと会長のナターリヤさんが「戦時下のウクライナ人女性たちの回復にむけた運動」について語りました。
ナターリヤさんは「私の家族の物語は、100万人の人々の物語です。」と話し、ご自身と家族が戦争の中で経験したリアルの物語を切実に語りました。
そして、戦争がはじまってから4ヶ月の中で、ウクライナ女性はショック、恐怖、混乱、未来への不安など様々な感情を経験し、中には心の中にヒステリー、憎しみを抱いている女性もたくさんいることを紹介しました。
しかしながら、憎しみを抱えたままで生きてはいけないことをも語り、国土の20%を失い650万人以上(うち3分の2が女性と子ども)が国内避難民となっている悲しい現状の中でもウクライナの女性たちは立ち直らなければならないと力強く発言しました。
今、ウクライナYWCAはニューヨークYWCAと協力しながら、戦争で被害を受けた女性たちに心理的リハビリを提供するオンラインサポートグループを立ち上げているそうです。非常に困難で長期にわたる取り組みですが、女性たちの戦争の痛手からの回復を支援しようと力を尽くしていること、そして今後に向けて平和構築プロセスへの女性たちの参画がかつてないほど求められていることを強調しました。
日本YWCAもウクライナへの支援募金活動を展開しています。
パレスチナYWCA
パレスチナYWCAからは、総幹事のAmal Taraziさんが登壇し、パレスチナYWCAの歴史と共に重点的に行っている4つの活動について紹介がありました。「ナクバの日」から早74年、土地を追われたパレスチナ難民たちの嘆きの日々は今も続いています。
パレスチナYWCAは、いち早く難民のための幼稚園事業や職業訓練センターなどを設立し、女性たちへの経済的エンパワメント、ユースや地域コミュニティでのリーダーシップを育て、人権尊重を元にした社会活動を行っています。
パレスチナYWCAは、そのレガシーと運営と財政の持続性を維持するために広く支援を呼びかけています。
難民キャンプで運営する幼稚園事業については、日本YWCAでも募金呼びかけを行っています。
日本YWCA
日本YWCAからは、副会長で平和・核委員会メンバーの樋口さやかさんが、平和憲法を守るための活動とその背景について発題しました。
日本YWCAは、アジア太平洋戦争とそこに至る歴史の中での過ちへの反省に立ち、「平和」を求める活動を大切な柱としてきました。その取り組みとして、1962年から40年間続けられた憲法研究会や朗読劇『平和の砦』、各地域YWCAでさまざまな形で進められてきた、憲法9条を活かし守っていくための活動を紹介しました。
また、近年の状況として、ロシアのウクライナ侵攻が国際的に大きな衝撃を引き起こす中、それを理由に憲法改正や「核共有」などという言説が強まっている状況への懸念を語りました。暴力や軍備によって平和がもたらされることはないという信念を持ち、今後も世界のYWCA運動と連帯しながら活動を続ける決意を表明しました。
フォーラムのモデレーターからは、憲法9条が日本の中だけでなくアジアにおいて、世界において重要な役割を持ち続けているという応答もありました。
韓国YWCA
韓国YWCAからは、前Yアカデミー委員で、梨花女子大学キリスト教学科講師でもあるイ・スクジンさんが朝鮮半島における女性の平和運動とその展望について話されました。
1980年代、昼間の祈祷会から始まった韓国YWCAにおける平和運動は、未来の平和維持者を育てる教育に力を注ぎながら、北朝鮮の子どもたちへの支援や南北分裂の痛みを癒すために白頭大山脈を登る平和巡礼、韓国市民と脱北者の相互理解を深め平和活動家を育成する取り組みをはじめとした多様なプログラム実施を通して平和への道を切り開きながら、同時に世界に向けても朝鮮半島における平和構築を促してきたことを振り返りました。
最近NATOに加盟し、韓国国内でも軍備強化を望む世論が高まりつつある今、女性の平和運動は全体主義に対抗する大きな力となりえること、そしてこれからも私たちが平和の番人としてこれらの活動を通して働きかけをつづけながら、責任を果たしていくことの必要性を強調されました。
日本YWCAと韓国YWCAが連携するプログラム:日韓ユースカンファレンスについて